シアトル アメリカ講習会レポート 2007

アメリカ講習会レポート 2007

0710_01

2007年11月アメリカでシアトル・サンフランシスコの2都市で阿吽会のセミナーが開催された。 アメリカでのセミナーは初めてという事もあり、「武術の身体使いでの解釈」を含め、基本的な身体整備を深く認識する内容でのセミナーとなった。

阿吽会の練習体系は

  1. 身体基盤練習 身体を調整し体を武術体に整える
  2. 接触訓練 対人練習を通じて 力の入出力や体の微細な動かし方を知る

1と2が絡み合って武術の身体創作を学び術へとつなげていくシステムとなっている。 (ここで言う身体創作・調整とは「武術体」を作る事が大前提の調整である。)
従い、身体基盤作りを理解するのには1と2の両輪を満遍なく鍛錬する事が必要であるが、2日という限られた時間の中なので調整に関してまず深く理解していただくような構成だ。

シアトルセミナー

0710_02

初日はまず身体の知覚(認識)と身体基盤を作り上げる練功をゆっくり始めていく。なれない身体整備に苦しげな表情ながら熱心にセミナーを受けている。 今回のセミナーは特に技術、テクニックのみならず、身体を整える為の基礎訓練に重点を置いた内容である。

シアトルでは、昨年阿吽会の評判を聞き日本に訪れた時に阿吽会の練習に参加した方が、阿久澤代表に触れ、代表の「どこから出されているか感じられない力」を体感し、帰国後自分たちなりに練習を続けていた。日本での体験者の一人は、身体に変な癖もなく肩の無駄な力も抜けている。アメリカに戻ってからも基盤の練習を考えながら非常に熱心に行っていたようだ。久しぶりに会って継続練習しているせいか進歩している事がわかった。

セミナーでは参加者に質問の機会を何度か作ったが、多くの質問が出された。アメリカはこれまでのセミナーの中で質問をする方が最も多いようだ。また、質問する内容から、中にはかなり身体の事を理解している方もいると感じられた。

基盤の訓練方法の意味がはじめは理解しづらいのではとの思いが若干あったのだが、講習会では阿久澤代表が要所要所に練習方法の意味を理解するためのデモンストレーションを交えた説明を行い、実際に手をあわせて体感してもらいながら進めた為、セミナーが進むにつれて理解が深まっていくようであった。 要求を認識して体を動かすことで「身体が理解」し、頭で考え、また身体を動かし理解が深まる。練習の意味は、やはり動いて体で知り理解を深めないと深遠を見出すことは無理だろう。セミナーの休憩時間にも熱心にメモを取る姿も見受けられた。

0710_03 0710_04 0710_05 0710_06

一日目の夜、セミナーの参加者の方々が食事会をひらいてくださり、多くの方々と打ち解けて話すことができる良い時間となった。 各々、阿吽会のセミナーに参加したきっかけや学んでいる武術について語ってくれたが、この中で、古流武術指導者の方が、「今までこれほどきちんと教えてくれる人は今までいなかった。考え方もこれまでにない解釈で全てに驚いている」と感想を下さった。 ヨーロッパのセミナーでも同様の意見を頂い

たが、どの国でも参加された方が基盤の鍛錬がなぜ武術に必要かを感じてくださるようだ。

影響しない力・影響する力

0710_07

2日目は午前中基盤の練習の復習、午後には接触訓練を行い、対人練習での力の運用を学習した。 シアトルでは身体の大きな参加者が多く、体重が100kgをゆうに超える方も参加していた。

海外の方は東洋人に比べて身体の作りが大きく、普通に考えれば筋力・体重だけを比較しても、小さな身体の私が相手を動かすことは難しい。ところがこの私が、接触の訓練で相手に押され付けられても相手の体を動かすことが出来たのだ。 私を押さえつけることの出来ない参加者の方は、「どうして抑えることが出来ないだけではなく自分が動かされてしまうのか」と不思議で仕方がない様子で、他の参加者にも私と手をあわせてみるように促していた。小さな人間から大きな「力」を感じることがかなりの驚きのようである。

私が接触して受けた感触としては、相手の方は”筋力としての力はとても大きなものだが、全く私に伝わってきていない・影響してこない為に、その大きな力を有効活用していない”のである。 そこで阿久澤代表が参加者に身体の置き方・身体の収め方について説明し身体を修正すると、かなりダイレクトに力が私に伝達されるようになり、ほんの少し正しい整え方を教えただけで大きく違うことも私自身が改めて体感する機会となった。

一般的に分割された部分だけの力では全体的に統一されていないため、思ったより相手に影響を与えることができないものだと感じた。
そしてどんな力であっても、自分に影響しない力は怖くないのだ、とも。

0710_08 0710_09 0710_10

阿久澤代表と接触した方はよく「どこから力が来るのか、わからない」「自分が力を入れても、抜いても、わからないうちに崩されてしまう」という感想を述べる。 つまり影響させる使い方が重要なのである。私が相手に影響させられると言うことは、普段の練習の中に影響させる為の仕組みがあり、練習を通じて培われていたと言うことを再認識した次第である。