武術への応用

「武術」

鍛錬に鍛錬を重ね本質的に深く練り上げ、時間と工夫をかける地層的部分が”術”という言葉で表現されます。 ここでは様々な経験や 認識を開放し自己 そして内部と外部の訓練とが陰陽のバランスのごとく融合調和し整うことが武術の原理だと思います。

武術は複雑ではなくいたってシンプルですが、シンプル=単純という意味ではありません。 表面上はシンプルに見えても内側では繊細かつ緻密で複合的な動きをしており、それが一つにまとまっているのでシンプルに映ります。 つまり、一つ一つを緻密に練り上げ、体の各部位を瞬間的に統一して動けるようにしていかなくては本当の意味での ”術”とはなりません。

表面の形だけをいくらまねても 内側の動きは真似することができません。 また、武術はルールが決められた格闘技やスポーツとは視座が異なることを理解し意識を変える事も重要となります。

練習としての「形」にとらわれてもいけません。方法論の形を作ってもいけないと思います。武術の本質は千変万化に身体が対応する様、研究と訓練を自発的に継続していかないと、 動きの”勘”や質の転換は難しいからです。

結局のところ、”術”とは人間の知恵であるため、さらに変化し続けると思います。 自己の不完全性を認識し自分で開拓していかなければ体得するのは難しく、 本当の意味での極意とは頭(自分で工夫する)と身体(体作り)を包括した鍛錬を継続できる事だと切に感じております。