9月18日開催 散打講習会レポート

散打講習会に参加して

今回で散打講習会の参加は2回目。過去にグラブでの経験も浅く、散打(スパーリング系体)にあまり興味がなかった私がどうして再び参加したかというと、前回初めて参加した散打講習での体験にあります。初級散打と言う事で最低限度の基本的な突き、蹴りは勿論 相手に対して、自分の細かい身体運用を認識しながら動きの空間を作り出すといった流れを研究していく部分がこの講習会の重要な内容になっています。更に さまざま段階を 追って最後にスパーリングを通じて日々の練習にフィードバックできるような体系的なメニューが組まれていると思います。前回参加した打撃系初心者の知り合いも後半には初心者とは感じられないくらいの動き(蹴りなども・・)に変わってしまった現実に非常に衝撃を受け、私は武術クラスの基本訓練の重要性を再確認できました。2回目の参加と言うことで私なりに感じた事を簡単ですがレポートしたいと思います。
台風13号の影響で当日は不安定な天候にもかかわらず、他の武道経験者やアメリカからのゲストなどさまざまな人たちが参加してました。

最初は身体をほぐす意味での簡単なストレッチ、しかしここにも本来さまざまな要求があり正しくやるにはかなり難しいと感じました。各コネクションを緩めていくんですが、一般的な柔軟性を求めるやり方ではなく、骨盤や股関節を中心に上下を繋いだまま行わなければなりません。ちなみに阿吽会の武術クラスではストレッチや準備体操はこれといって行っていない。全体練習での基本錬功の過程で身体が整っていくからである。【阿久澤代表は普段クラスでは、『本来訓練順序などどうでもいい。・・・クラスや教室だからこのようにやっているが・・・』と言われている。】

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つづいて、受け身ですが基本的には2人1組で投げからの前後受け身を含んだ、いろいろなバリエ−ションをやりました。しかし重要な点は相手の力やベクトルがかかってから受けるというより、相手と同化しながら受けていくような印象です。(言葉ではなかなか上手く表現できませんが・・・)また、1人で訓練する際、小さいマットで前後左右受けるのですが床が滑るのもあって私達が受け身をするとマットがかなりズレてしまうが、阿久澤代表が受けるとマットがズレない上、畳1畳分ぐらいのところで起き上がっていることに驚きました。総合格闘技を現役でやっている人が参加していて真剣に先生に質問していのが印象的でした。

一般的に見られるディフェンスと言った概念とは違い、相手との距離や空間などを含めての”崩し”を垣間見ることができました。相手の体幹部に密着する技術はなかなか外から見ただけでは理解できません。初めて散打講習会に参加した武術暦が長いTさんも、まるで抵抗がないのでこんな感覚は初めてだ・・と驚いてました。

後半、ミットや防具を使っての散打(自由攻撃)のシミュレーションの為、基本的な攻撃の有効性を認識する訓練に入りました。突きに関しては単発的な動かし方や部分的な力ではなく移動するエネルギー本来のバランスや常に身体の要がぶれないよう動く練習を注意しながら御互いアドバイスしてできたことは良かったと思います。

最後に参加者のレベルに合わせて、スパーリングを行いました。個々、それぞれのバックグランドが違ってもここまでの流れで、この講習会の趣旨が皆 個人レベルで理解できているような印象を受けました。 実際、現実としてすぐ解釈や動きそのものは変わりませんが、目的を持って皆、スパーリングに集中していました。ふたを開けてみると外国勢は、非常にアグレッシブな人もいた為 感情的になる場面もたびたびありましたが、ある意味今までやってきた武術、武道のプライドや経験が如実に試されているという一面もある為、緊張感あるいい経験ができ、 これからの訓練、練習にたくさんの課題が見つかり普段のクラスの本当の意味がこのような角度で身に染み、実感した次第です。

以上、改めて思うことはどのスタイルがどうとか、こうとかではなく、阿吽会で教えている事は一般社会でもそのエッセンスが生かせれているのだという事です。勿論、武術ですので厳しい側面は当たり前ですがあります。散打という競技やルールのあるスポーツと一緒にすることはできないと思います。

しかし、個々の目的やニーズに合わせて学べるところがこの会の素晴らしいところだと感じました。阿吽会に入会して1年数ヶ月経ちましたが、阿久澤代表の稀有な解釈や発想はいまだに理解できてない私ですが、その奥深さを知るとともに、これからの練習で少しでも進化できるよう頑張りたいと思います。

(阿吽会 武術クラス 渡辺 学)

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パリにて、フランス講習会 1日目2006/02/ EU02

多様な参加者

パリでのフランス講習会初日、どのような方たちが参加するのかこの時点で我々は知らなかった。EUに旅立つ時点で20人を超す申込みがあると聞いていたが、朝、講習会場に到着すると、すでに大勢の人たちが集まっていて、ざっと見渡すと30名以上はいる。
さまざまなスタイルで多種多様の国の人たちが参加しているが、もっと驚かされたのは、パリ近郊だけではなく、ベルギー、スイス、オランダ、スウェーデン、遠くは南アフリカから(1日半もかけて!)今回のセミナーのために来ているというのだ。中には空手・合気道の指導者、総合格闘技の中量級EUチャンピオン、アレクサンダーテクニックの講師だという人もいる。みなそれだけ阿久澤代表・阿吽会の武術・訓練に興味を持ち、流派も立場も(国境も)超えて真剣に学ぶために参加していると知り、身の引き締まる思いがした。
通常、武術の講習会は技を含め基本用法や形(型)の伝授という内容が一般的であろうかと思う。(もちろんスタイルや流派によっては多種多様のスキルはあると思うが・・)今回の阿吽会パリ講習会のテーマは、阿久澤代表の武術的解釈が一般的な解釈・格闘技的と異なる事を認識していただき、武術の基盤の部分の訓練方法を学んでいただくという点にある。根本を理解・認識すれば、流派、スタイルを問わず学ぶべき所があるため、技やその先の応用(変化)と言う内容はさまざまな段階があり、今回の講習会ではこんな感じでの動きや、身体使いというように実際に動いて訓練との意味を繋げながら進めていった。(阿吽会のカリキュラムは、基礎原理に基づいた訓練なので、どの流派やスタイルの方でも、さらに意識を変える事により身体的効率性を伸ばす事が可能だと思う。)
かといって、いきなり身体操作の訓練を行っても、初めて触れるかた方にはその意味の何たるかを理解しづらいであろう。そこでまず阿久澤代表と直接手を触れ、力の生成(静、動を含め)及び身体の統一というものを皆さんに体感してもらうようにした。体感する事で、その後の基礎訓練の意味が理解しやすくなるはずである。
阿久澤代表の挨拶の後、体を調え、接触訓練である立つ訓練(push out)と入出力(力の生成)の練習に入った。

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ロバートの英語通訳の他に、初日はパリ在住で合気道の指導をされている土屋さんがフランス語の通訳にあたってくださいました。すばらしい人柄の土屋さんの通訳と気配りに大変助けていただきました。

身体整備?

立つ訓練(push out)は一番シンプルな立つこと-つまり、自分の軸を正すことと相手との接触から自分の力がどのように入っていくのか、相手の力が自分のどこに影響するか、などを知るための訓練である。力の生成の練習も同様の意味合いがあり、実はこの両者を共に習練するとスパイラル状に絡み合って理解が深まっていくのである。単に強靭な“軸”と言ってもいろんな発想での捉え方があり、単純に身体を整備することは思ってる以上に難しく、上手くできないものである。参加者の方々は2人一組になって練習し、阿久澤代表が各人を手を合わせるのであるが、参加者の方が満身創痍の力で押しても阿久澤代表の軸は崩れる事がなく、また、足を構えなおして重心全てをかけて押しこんでも、阿久澤代表が姿勢を正し入力するとかえって崩されてしまう。この体験から、武術的意味での力の意味が通常の力の概念と異なる事、そして武術的な力の生成の必要性を理解していただけたようだった。そして、身体を統一させるという解釈からきている、身体創造の訓練法をゆっくり身体の上、下を繋ぎながらのトレーニングとして行なっていきます。【阿吽会ではこれは”天“地“人”と言う】こういった流れで本来の身体の置き方の意味や整えることの認識を高めて各個人の身体をよりシンプルになおかつ強く調節することをこの訓練から感じ取ってもらえた気がした。

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動作を交えながら細かく説明後、参加者各人で行う。 講習会ではポイントの解説を英訳したパンフレットを5枚配布。細かく内容を確認しながらじっくり学ぶ。

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違いに気付く

昼食時に、総合格闘技EUチャンピオンでもあるポルトガル人のクリスが「阿久澤代表の教えている事は高度なことだから、初心者はこの訓練がどう繋がるかまだ意味がわからないだろう」と話していた。
阿吽会で行っている訓練の数々は、基本的には同じ根から成り立っている。すなわち【武術の原理にのっとった身体操作】が大きな根となっているのだ。その根を養うための“形”であり、武術の構造を体に染み込ませるためのフレームである。おのおの形の違いは、身体のそれぞれの部位・方向を統一させたり調え作るため、また、身体内部の感覚を理解させるための違いである。
また、初心者の方が認識するのに時間が掛かるとしたら、武術というものの解釈は一般の格闘技とは異なっているからであろう。 例えば一般的な格闘技に見られる攻防の練習、そして組み手などという一連の体系とは異なり、武術の解釈とは自己のフレームの生成(内側と外側の身体統一) それらを相対的に練り上げた結果相手に影響を及ぼすような訓練体系となる。
フランスの武術雑誌の取材を受ける阿久澤代表。実際に講習会を体験した記者の方は「本来の武術にはこのような訓練体系が必ずあったはずだ」と感想を述べておられた。

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【以下、本文より一部抜粋】
阿久澤稔。若い日本人の先生が新しい理論を作った。
我々取材班も良く理解する為に講習会に参加した。

彼の理論は単に興味深いだけでなく非常に素晴らしい内容である。体の小さな者でも大きな力を出せることを講習会の間絶えず体の大きなものを相手に証明した。日本の伝統に縛られなく、現代的な純粋な研究者である。 彼が日本の伝統的な技法や流儀も知っているだろうが、どちらかというと反伝統的な方法、結果を出すのが長くないだけでなく、方法も難しくないというオリジナルな方法論が練習が始まるにつれ気がついた。

兎に角先生の動きは対極の老師の様な動きを予測させない動きをする。全身を整えて動かすことは、柔軟である前に最も大切であると先生は強調する。

阿吽理論は体を別な視点から理解し、別な視点で体を動かすこと、そして力を格闘の中で如何にして送るかにある。素晴らしい流派である。

講習会2日目

もっと、知りたい。

1日目だけ講習会に参加するはずだったが、1日目の講習会に出てみて、私用をキャンセルして2日目の講習会にも参加を申し込んだ方が4〜5人かいると聞き、訓練内容の重要性を感じてくださった方が多かったことを嬉しく思った。午前中はまず1日目の復習を行う。参加者の方からは昨日の課題の質問が積極的に聞かれた。

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フレームの細かいポイントを確認。表面上の形は勿論、微細な内部感覚の質問に答える。
この2日間行われた基本動作の数々は、見た目には地味で簡単なように思えるが、行うとかなりきつく体中が痛くなり阿吽会に始めて参加される方はいつもこのキツサゆえに顔を歪めるのである。この鍛錬方法を行うと自分の身体のクセやブレをいやおうなく実感することとなる。今回講習会に参加した方も各々苦しそうな表情はされるものの、痛く、辛くても姿勢を崩さないように努力して行なっているのを見て、つかみたいという必死な思いを強く感じた。

基本が身体運用に繋がる時

基本の訓練を一通り終えた後に、昨日から行ってきた【身体を整え繋げる訓練】が実際どのように動きとして結びついていくのかを再度認識する為に1つのメニューとしてミットを使っての蹴りを行った。ここで言う蹴りとは一般的な個々の筋力に頼って蹴りこむというのではなく、“整った身体で軸を崩さず重心をそのまま移動する”というものである。蹴ろうという意識ではなく、移動エネルギーで体全体が作用した結果、相手に大きく力が伝達される。自分の身体は崩れず整ったまま行われるといった要領である。たまたま足を使うので【蹴り】という言葉で書いているが、身体のどの部分を使っても同様の要求である。 始めに、参加者の方が今まで学んできた武術のスタイルでの蹴りを、フルの力で行ってもらった。そしてその次に昨日から行ってきた訓練の身体原理を意識して蹴ってもらう。参加者が交代でミットをもって受けを取っているので、前者と後者の違い・・・自分に入ってくる力の質がどのように変わるのかを体験し、身体意識の重要性を理解していった。阿久澤代表が実際に動いて説明したのだか、それを見ていた参加者が「阿久澤代表は100%フルで動いていない、30%や40%の力で動いているのに、ものすごい力が伝達される」と言っていた。普段から阿久澤代表が「フルパワーで相手に対応するのではなく、軽く動いて相手に響かせるような方向にしていかないといけない」と仰っている。そもそも通常の力(パワー)という概念も武術の観点で見ると違うからだ。

この講習会を通じて 阿吽会の身体操作の基本訓練と武術への転換を体験し理解していただけたと思う。これは武術の入り口であり、基盤の根となるものだと私は強く感じています。

効果に驚く

最後に、講習会に参加した方が、その後に阿吽会PARISセミナーで訓練した事を意識して練習を行ったところ、講習会参加前とは自分の動きも相手への影響のしかたも変わってしまい驚いたという話しを聞いた。何十年も多くの武術を鍛錬し、今現在道場で指導している方がである。2日間の講習会に参加しただけであるが、武術の基本原理にそった動きをし、意識が変わっただけでこれだけ大きく変化する。もちろん武術は奥が深く簡単に会得できるものではないが、正しい認識のもとで訓練を続け身体と意識が変化し、自らの頭で考察し工夫していけばより大きく違いを体感するであろう。この方は近日来日し、再度阿吽会にて学ぶ予定である。 講習会で行った内容は武術の底辺の身体操作の鍛錬であるが、阿吽会では単なる身体使いや理論だけに留まらず、そこから武術への応用へ発展させ進化させるカリキュラムを行っている。 いづれ機会があれば、武術への応用と進化をテーマとした内容での講習会が行われるであろう。
さらに理解を深めたい! また、パリ近郊に住む講習会参加者から、もう一度復習をしたいとの要望があり、2月15日に復習会を行った。14〜5人が集まり、夜2時間ほど復習会が行われた。その後も参加者で集まり講習会で学んだ事を訓練しようという動きもあるそうだ。講習会で蒔いた種が根付き始めている事は何よりも嬉しい。

序章 フランス講習会開催へ 2006/02/ EU01

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昨年より、阿吽会会員が、阿吽会で阿久澤代表が教えている内容を海外の武術フォーラムに書き込んだ事がきっかけで、海外の武術練習者の間で阿吽会のカリキュラムがちょっとした話題となっていた。そして11月にアメリカで講習会をやって欲しいとの依頼を頂いたが日程の調整が付かず、この依頼は延期せざるを得なかった。 そんな折に、フォーラムの参加者で長年“陳式太極拳の四傑“陳小旺”の元で武術を学んでいるマイク氏が「阿久澤代表の言っていることは武術の根本原理の部分であり、そういう内容を惜しみなく教えている人はなかなかいない。パリでセミナーを行ってはどうか」と、パリ在住で武術を指導しているエドワードに阿久澤代表を紹介した。【マイク氏は欧米では“陳小旺”に認められ、パリでセミナーを行なったことがあるため】エドワードも初めは阿久澤代表や阿吽会の事を知らなかったのだが、ポストされた内容を読みマイクの薦めもあり、「具体的には阿久澤代表の事を知らないが、スタイルや流派の枠に拘らず、武術の基盤、核心的な部分を教えているのなら、講習会を企画をして、ぜひ呼んでみよう」、と言う流れで阿吽会のPARISセミナーを企画・開催することとなり、我々に依頼が届いた。

【ロンドン練習会】 2006/02/07

この伝達される力は何?
パリのセミナーの前にロンドンに立ち寄った。阿吽会の会員で現在ロンドンのビジネススクールに留学中のジェラルドがいるからだ。(ベルギー出身の彼はフランス語も喋れる為、フランス講習会2日目の通訳をしてもらった) ジェラルドの呼びかけで、阿久澤代表に興味を持ち学びたいと思った人たち(マーシャルアーツの経験者・アメリカ軍に所属しアフガニスタンの戦争で指揮官だった人・空手などの有段者など)が集まりロンドンで練習会を行う事となった。

セミナーと違い練習会ということでもあり、普段の阿吽会でのカリキュラムの抜粋的な内容にて行う。 まず基本の動き・身体操作の鍛錬の後に阿久澤代表の武術の解釈の違いと力の生成を体験した。古流有段者の方が、今までこのような力の伝達を感じた事がないと驚きを隠せない表情で話していた。相手との接触訓練を行う時に、体を正すことで相手の力が影響しづらくなるものだが、阿久澤代表の入力を受ける時は、どのようにしても根っこを掘り起こされてしまうような影響を受ける。力がぶつかるといった感触が殆ど感じられないのだ。

短い時間にも関わらず、ロンドンの参加者の方々が一様に、出来るならもっと学びたいと、阿久澤代表の武術を理解し興味をもってくださった。(普段、地味な訓練ですぐに結果が出るわけでもないから・・・)
海外でも解釈が受け入れられる事を実感し、フランスでの講習会にも期待がふくらんだ。

阿久澤代表の力の生成。一般的な合気あげのような形を取っているが、これは力の伝達により、相手との繋がっている部位を通じて相手のコネクション及び身体の中心をコントロールする方法、解釈が基に行なっている1つのデモンストレーション。

※相手の方が阿久澤代表の指一本を持っても、手をつかむのと同様に力が伝達されます。この場合は例として手を持っていますが、通常のこのような力の伝達を武術の“身体使い”の中で運用できるよう訓練していきます。