GW特別講習会 初級散打講習会レポート

2005年5月4日、GW特別講習会の第2日目は初級散打講習会。今回は初級散打という事で、散打の基本・攻撃への崩しなどの技術を通し、本質的な武術としての身体操作とはどういったものかを理解していただく内容となりました。

【リポート】
二日目の講習会は棒体術講習会と違って身体作りではなく、散打という競技での身体の武術的な生かし方と、制約された中で相手に対して有効的な動きを行う難しさを体感しました。 講習会の内容は、初日とはまるっきり反対で、武術基本功は行わず、主にストレッチなどでウォーミングアップを行ってから早速初級散打に入りました。

まずは、立ち位置やスタンス、間合い等、グラブでの距離を認識しながら相手と自分の関係を学んでいきます。足をとめて打ち合うのではなく、最初は相手の攻撃を外したり、崩す方向性で訓練していきます。 素手とグローブの違いにより手先の技術はかなり塞がれます。阿久沢先生がよく言っている身体の各コネクション切らさず、自分の身体をいかに整えて動くという方向性で講習会は進んでいきました。これはやはり見た目より難しくて、身体の各部を整えながら普通に歩くのは神経を使います。 次の段階としてこの”繋がった感覚”を保ちながらパンチの方に入りました。通常のパンチとは違って、まず「打つ」という意識に捉われず手を自然に出すことを学びます。そして、打つと言うより、送ると言う感覚で行うように練習していきます。 Kua、そして、頭の先から背中を通す感覚を中心に戻し・出しながら力を送ろうとするような感覚で行います。と言葉では表現できますが、実際に行うのは中々難しい。

次は散打ということもあり 今回はベーシックな蹴りのバリエーションを行いました。サイドキックはパンチの時と同じく、相手の方にExpand、送る感覚で行います。 キックというと蹴ることに意識がいきがちですが、この練習においては、実は蹴る足よりも支えている軸足の感覚が大事で、蹴る事は基本の体軸を保ちつつ重心を水平移動した結果として力が伝達したという事になります。蹴る時も足から背中、頭に走る繋がった感覚を保つことが必要だと思います。そして蹴る時に常に足の間に橋のアーチの感覚があるような意識で行います。簡単な蹴りでも繊細に行わなければ対人相手では有効ではありません。 力を出してないなくても力を使う以上に疲れます。

その他の蹴りもまたサイドキックと同様、通常のキックのような腰を溜めて”蹴る”のとは違い、前に普通に進みながら軸足に感覚を送らせ、一瞬にして自分の中心を前の方に出し、蹴る足がたまたまその中心を送ろうとしているために力が求心的に働いているっといった感じです。これも行うのはかなり難しい。

最後は参加者たちが、その日に学んだ”自分を崩さずに相手の線を外し崩す”事を意識してライトスパーリングを行いました。練習の過程である程度の決まり中で行うにおいても気を配るのはとても難しい要求だというのに、相手との自由体練の中で「自分を保つ」という要求を意識するのはなかなか行えないという現実を味わいます。相手と接触する前は自分を保つ意識をしていたが、やはり接触があった瞬間神経は手や足の方にはしり、どうしても「蹴る」・「打つ」ことに意識がいってしまい、もうボロボロです。 防御に関しては普段のカリキュラムの延長線が生かせたような気がします。しかし攻める時は自分が崩れてしまう・・・このジレンマを今後どうするか、勉強する事が多いです。

今回の講習会に参加して、色々な疑問に対して糸口を見つけたような気がしますが、同時に同数の疑問も出てきました。基本として、一人で行う練習は大事で、武術的な意味で行えばとても意識を使い難しい。しかし、これに加えて動いている相手がいると、いろんな気持ち、感情、が出て、これを受け入れながら行って、そして身体の全ての条件を保つと言う事の難しさを実感しました。ジレンマがありすぎて、悩みや疑問は、深く理解するごとにますます多く増えるが、悩みや疑問がなければ進化しないと思います。次の講習会までに毎日1%ずつでも自分を理解し積み重ねるように頑張ろうと思います。

ロバート・ジョン